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2016/7/20
【不動産取引】建物賃借人を強制的に退去させたことが違法な自力救済にあたるとされた例

建物賃借人を強制的に退去させたことが違法な自力救済にあたるとされた例

 建物賃貸人が建物賃借人を強制的に退去させた行為が違法な自力救済にあたるとして損害賠償が認められた裁判例があります(東京地裁H25・10・17 判時2216-100。以下「本件」といいます。)。

 例えば、入居者が所在不明となって連絡がつかなくなってしまった場合に、家主としてどのような対応を取るべきであるかという問題があります。この点については、
①建物明渡請求訴訟を提起して判決を取得した上で、その判決に基づいて、明渡強制執行を申し立て、これにより賃貸床の占有を回復する。
②無断で部屋に立ち入って荷物を運び出したり、鍵を変えたりすることは違法なので差し控えましょう。 というのが、教科書的な回答ということになります。

②のように、部屋に無断で立ち入って荷物を運び出したり、鍵を変えたりすることは、本来、法律が定める手続きに従ってこれを行わなければならないところ、法律が定める手続きによらず、自分の力で占有を回復してしまう点で、「自力救済」と呼ばれます。

 自力救済は、原則として違法なのですが、例外的に適法となりうる場合について、最高裁判例があります。これによると、次のように判示されています。

 「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続きによったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない。」(最三判S40・12・7 判時436-37)

 本件は、入居者が賃料の滞納を発生させたことがきっかけとなって、まだ部屋で居住している入居者を強制的に実力で退去させ、部屋の鍵を取り替えてしまった、という事案です。

 入居者が行方不明で連絡もつかない状況とは異なり、入居者が現にまだそこで生活している状況の下で、強制的に入居者を退去させ、鍵を取り替えてしまうという行為が、自力救済行為として適法だという評価を受ける余地はないといってよいと考えられます。上記最高裁判例に照らしていうと、特別の事情がないということになります。

 本件では、強制的に退去させられた入居者の損害として、慰謝料80万円と、弁護士費用の損害として8万円の合計88万円が認められました。
また、「入居者が賃料を滞納したのが悪い。」という理由に基づく賃貸人からの過失相殺の主張は認められませんでした。

 以上のように、本件は、まだそこにいる入居者を強制的に排除している点で、自力救済が認められる余地がないものですが、上記最高裁判例にいう特別の事情があって、必要な範囲を超えないときは、適法とされる余地がないわけではありません。下級審判決もそれなりに散見されますので、このことからすると、自力救済的な行為は、世上、ある程度現実に行われているものともうかがわれます。

 自力救済は原則として違法ですから、その判断は慎重に行う必要がありますが、実際には様々な局面がありますから、リスクを理解した上で、自力救済行為に及ぶ判断をするべき状況もあるかもしれません。

 

 

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