

把握している限りですが、報道によると、この1ヶ月の間に高齢者(ここでは75歳以上の方を指すものとします)の運転による自動車事故がこれだけ起きています。
秋田県由利本荘市 10月21日午前4時頃 運転者76歳男性 高速ジャンクションを逆走 運転者含む3人が死亡
http://mainichi.jp/articles/20161022/k00/00m/040/116000c
横浜市 10月28日午前8時頃 運転者87歳男性 停車中車両に衝突・横転し、通学中児童の列に突っ込む。27日夜から夜通し運転か? 小1ひとり死亡、6人が重軽傷
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016102902000272.html
栃木県下野市 11月10日午後2時頃 運転者84歳男性 病院玄関付近ロータリーで駐車場バー突き破り暴走 1人死亡、2人負傷
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000087521.html
東京都立川市 11月12日午後3時頃 運転者83歳女性 病院駐車場バーを突き破り敷地内歩道の縁石乗上げ 2人死亡
http://mainichi.jp/articles/20161113/k00/00m/040/012000c
こうした高齢者運転による事故発生について、
一定年齢に達した人に免許返納を義務づけるべきとの意見がある一方で、
公共交通機関が乏しい地域においては高齢者が自ら自動車を利用する必要性が高く、代替策を立てずに返納だけ求めるのは横暴・無責任だという意見、
ひとくちに高齢者と言っても能力に個別差があるので定期試験実施などによる限定規制が妥当という意見、
社会構造が変わらない限り返納後も無免許運転する人が想定され、返納義務付けはかえって危険を招くという意見、
などもあるようです。
意見が分かれる難しい問題であるにしても、これだけ痛ましい結果が頻発している現実をみると、急速に議論を深化させて具体的対策を講じなければならないものと思います。
その議論の過程が、運転免許制度の問題にとどまらず、これからの日本社会が向き合わなければならない問題にとっても有益なものとなることが望まれます。
(以下は、2016年11月13日付毎日新聞記事の引用です)
警察庁は認知症に重点を置いた対策も進めている。現行では、75歳以上の免許更新時に認知機能検査を行い、「認知症の恐れがある」(1分類)▽「認知機能低下の恐れがある」(2分類)▽「低下の恐れがない」(3分類)に分ける制度を実施。1分類のドライバーが交通違反をすると医師の診断を受けさせ、認知症と診断されると免許を取り消す。
しかし1分類でも交通違反がなければ免許取り消しがないうえ、2、3分類については違反をしても次の免許更新時まで認知症検査を受けることがないという点に、チェック体制の「甘さ」があると指摘されている。このため来年3月施行の改正道交法では、1分類であれば交通違反がなくても医師の診断を求め、2、3分類についても交通違反があれば診断を義務づけるという内容に制度を変えた。
警察庁幹部は「高齢者の事故防止は難しい問題だが、改正する制度のもとで安全対策の徹底を図っていきたい」と話す。