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2017/3/1
【不動産取引】明渡義務の履行と原状回復の関係について

明渡義務の履行と原状回復の関係について

賃貸借契約が終了するときには、賃借人は、原状回復義務を負います。原状回復義務としては、通常の使用による損耗を超える損耗(損壊・汚損箇所など)については、賃借開始時の状態に戻さなくてはなりません。また、賃借人が持ち込んだ資産や、設置した造作物については、これを撤去しなければなりません。

では、この原状回復義務を履行しない限り、例えば部屋の鍵を家主さんに返還しても、部屋を明け渡したとは認められないのでしょうか。明け渡したと認められなければ、賃料相当損害金が発生し続けることになるため、問題となります。

この問題については、参考になる裁判例があります(東京地裁H18.12.28判決)。これによると、以下のように判断されています。

「一般に,賃貸借契約における賃借人の目的物返還義務としての不動産の明渡しとは,当該不動産の占有者が立ち退くとともに,不動産内にあった動産を取り除いて賃貸人に直接的な支配を移すことであると解される」

「不動産内のパーテーションや書棚は床等に固定されているものと認められるから,それを撤去することは賃借人の原状回復義務として必要となるが,民法上,借用物の返還義務と原状回復義務は異なるものであり,後者が履行されなければ前者が履行されていない,という関係にはない」

これらの判示事項から、目的物返還義務(明渡義務)と原状回復義務とは、別の義務で、原状回復義務は、明渡義務に対して、当然には先行しないことが分かります。

このため、残置物が残されている限り、賃料相当損害金(あるいは約定違約金)が発生し続ける、ということには通常はなりません。賃借人が自ら持ち込んだ動産類を撤去して退去し、鍵を返還すれば、通常は、明渡義務を履行したということになりそうです。もちろん、賃貸人に過大な負担を生じさせるような原状回復義務の不履行は、明渡義務の不履行と評価すべき場合もありえようかと考えます。

なお実際のところ、実務的には、賃借人が現実に原状回復工事をするということはあまり例がなく、原状回復義務の履行に代えて、原状回復費用を負担する、という場合がほとんどです。

オーナーとしても、賃借人が手配した工事業者に工事をされるよりは、取引のある工事業者で工事をしたいというのが実情であろうと考えます。

商業施設などでは、一棟あるいはフロアで賃貸借が行われるときは、スケルトン渡しとされることがあり、これによれば原状回復はスケルトンということに本来なります。しかしながら、契約終了後のリーシングの状況などによっては、スケルトンにまでは戻さず、原状回復費用相当額を敷金から控除して(あるいはその他の計算上の精算によって)、契約を終了することもあります。

以上のことから、一般論としてですが、交渉の手段として原状回復ができていないから明渡未了だと主張することはあるとしても、実際には、動産類・設備等の残置の程度がひどい場合や、悪質というような状況でない限り、原状回復義務の履行(又はその履行に代わる原状回復費用の負担)と、明渡義務の履行とは、これを区別した上で、精算の協議することが解決に近づく方法としては相当であると考えられます。

 

 

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