
2017/4/28
【離婚問題】不貞行為による婚姻費用の制限
不貞行為を行った有責配偶者は、有責でない配偶者に対して婚姻費用を請求できるでしょうか。この点に関する裁判例が出ています(大阪高裁H28.3.17判時2321-36)。この裁判例によると、以下のように判断されています。
抗告人:夫
相手方:妻
「抗告人と相手方が平成25年に再度同居した後、相手方は本件男性講師と不貞関係に及んだと推認するのが相当であり、抗告人と相手方が平成27年☓☓月に別居に至った原因は、主として又は専ら相手方にあるといわざるを得ない。」
「相手方は、上記不貞関係を争うが、相手方と本件男性講師とのソーシャルネットワークサービス上の通信内容からは、前記のとおり単なる友人あるいは長女の習い事の先生との会話とは到底思われないやりとりがなされていることが認められるのであって、これによれば不貞行為は十分推認されるから、相手方の主張は採用できない。」
「そうとすれば、相手方の抗告人に対する婚姻費用分担請求は、信義則あるいは権利濫用の見地から、子らの養育費相当分に限って認められるというべきである。」
このように、婚姻費用を請求しようとする者が有責である場合には、婚姻費用の請求が、子供の養育費相当分だけに制限される場合があります。
なお、原審審判では、相手方と男性講師が不貞関係にあったとまでは認定されておらず、事実認定が逆転しています。具体的な内容は明らかにされていませんが、SNS上のやりとりに基づいて不貞の事実を認定した点も参考になります。
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
抗告人:夫
相手方:妻
「抗告人と相手方が平成25年に再度同居した後、相手方は本件男性講師と不貞関係に及んだと推認するのが相当であり、抗告人と相手方が平成27年☓☓月に別居に至った原因は、主として又は専ら相手方にあるといわざるを得ない。」
「相手方は、上記不貞関係を争うが、相手方と本件男性講師とのソーシャルネットワークサービス上の通信内容からは、前記のとおり単なる友人あるいは長女の習い事の先生との会話とは到底思われないやりとりがなされていることが認められるのであって、これによれば不貞行為は十分推認されるから、相手方の主張は採用できない。」
「そうとすれば、相手方の抗告人に対する婚姻費用分担請求は、信義則あるいは権利濫用の見地から、子らの養育費相当分に限って認められるというべきである。」
このように、婚姻費用を請求しようとする者が有責である場合には、婚姻費用の請求が、子供の養育費相当分だけに制限される場合があります。
なお、原審審判では、相手方と男性講師が不貞関係にあったとまでは認定されておらず、事実認定が逆転しています。具体的な内容は明らかにされていませんが、SNS上のやりとりに基づいて不貞の事実を認定した点も参考になります。
【民法】
第760条夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。