
2017/6/27
【離婚問題】面会交流の間接強制に関する裁判例
面会交流が約束どおり行われない場合、子を監護している親には、面会交流を1度怠るたびに●円を支払えという命令が出ることがあります。これを間接強制といいます。
「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において,面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は,上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。」というのが最高裁の決定です。
この場合に監護親に課せられる金額について、この例では、面会交流を1度怠るごとに、100万円を支払え、という内容とされました(但し、後日抗告審において30万円に減じられているということです。)。決定の主文は以下のとおりです。
【主文】
- 1 (前略)債務者は、債権者に対し、別紙のとおり、未成年者と面会交流をさせなければならない。
- 2 債務者が、本決定の送達日以降、前項の義務を履行しないときは、不履行1回につき100万円の割合による金員を支払え
別紙
この例では、100万円が認められましたが(抗告審で30万円に減額)、これは、監護親の収入が2,640万円と認定されていることが影響しています。- (1) 月1回 第1月曜日 午前11時から午後4時まで
- (2) 債務者は、(1)の面会交流開始時間に、△△駅の改札口において、債務者又は債務者の指示を受けた第三者をして債権者に未成年者を引き渡す。
- (3) 債権者は、(1)の面会交流終了時間に、△△駅の改札口において、債務者又は債務者から事前に通知を受けた債務者の指示する第三者に対し未成年者を引き渡す。
- (4) 当事者や未成年者の病気や未成年者の学校行事等やむを得ない事情により、上記日程を変更する必要が生じたときは、上記事情が生じた当事者が他方当事者に対し、速やかにその理由と共にその旨を電子メールによって通知し、債権者及び債務者は、未成年者の福祉を考慮して代替日を定める。
なお、この例では、当時中学1年生の子自身が面会交流を望んでいないという主張がされていましたが、この点については、子の面会交流拒絶の意思は、監護親によって歪められたものである旨の判断をし、間接強制の適否及び条件の判断にあたり考慮されませんでした。